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  • 執筆者の写真梶村 寛

配信方法の検討

更新日:2021年9月16日

バーチャル工学部広場への入り口↑


人がいない建築?!

バーチャル東大に設置したバーチャルパビリオン


「感染症対策のため、パビリオンに来ていただくことができない。」


建築にとって、その空間に人がいない、ということは致命的な衝撃です。人が居て、その場所に空間を作るのが建築の役割であるはずなのに、しかし人は来ない。前代未聞のこの大問題に立ち向かうため、私たちは建築の分野だけでなく幅広い知見を参照しながら、オンラインでの観賞について考えてきました。


そんな中で私たちは、そもそもパビリオンを観賞するとはどういうことなのか?という根本的な問いに直面しました。実際に直接見て触れてその空間性を体験する、という初元的な観賞ができない今、デジタルエイジにおけるパビリオンのあり方を再考させられています。

幸いにして、施工のデジタル化に伴い、既にデジタルツインとなる3Dモデルは整備されていました(デジファブ記事へ)。しかし、それをどう活用するかについては、全くの手探りの状態からスタートしたのです。





検討段階のブレインストーミングの様子


ここで私たちが注目したのは、「自在性」と「共時性」でした。

空間を観賞するとき、私たちは視点を自在に設定し、その空間を様々な角度から知覚します。他者の設定した単一の視点に縛られず、直観的に視線を移動させる「自在性」が鍵ではないかと考えました。

また、同じ空間を体験する他者の存在を感じる「共時性」もまた重要な鍵と考えられます。主体である鑑賞者と客体であるパビリオン、そして第三者の存在こそが、現実世界に存在する空間の価値として発見されうると考えました。


リアルを届けるには

様々な方面に思いを巡らせましたが、結局私たちが大切にしたのは、リアルのパビリオンを画面越しにでも自在に見て回って欲しい、ということでした。


そこで、複数台の360ºカメラによるストリーミング配信をすることと、配信本郷キャンパスを再現したバーチャル空間「バーチャル東大」と連携し、バーチャルパビリオンも観賞していただくことを考えました。360ºカメラを複数台使用することで、様々な角度からパビリオンを観賞していただけるよう、計画しております。



バーチャル東大 バーチャル工学部広場


「バーチャル東大」は、学生有志によって整備された、本郷キャンパスを再現したバーチャル空間で、昨年度の総長大賞を受賞しています。昨年度のオープンキャンパスにおいてVR技術を用いたSNS「Cluster」上で公開され、今春にブラウザ版がリリースされるところでした。

バーチャル工学部広場にバーチャルパビリオンを建設し、バーチャルな世界でもパビリオンを観賞していただけるようにしています。また、バーチャルからリアルへスムーズに連続するために、バーチャル東大に設置したカメラ型オブジェクトをクリックすることで、360º配信へとリンクするシステムを考案しました。

既にプログラムの実装は済んでおり、リアルのパビリオンが完成した際には皆様にご来場いただけるよう待機している状態です。



バーチャル東大の様子


360ºストリーミング配信に関して、東京大学先端科学技術研究センター身体情報学研究室の皆様、株式会社ハコスコ(Hacosco Inc.)、東京大学工学部・大学院工学系研究科情報システム室をはじめとした様々な方々のご協力とお力添えを頂いております。

また、バーチャル東大へのバーチャルパビリオン建設に関して、バーチャル東大開発チーム、東京大学VR教育研究センターのご協力をいただきました。

この場を借りまして感謝を申し上げます。


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